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紫 陽 花

平野 正(遠州屋薬局)


35度を越す猛暑に夜も寝られない日を過ごしているが、休日は健康の為歩く事にしている。熱中症と聞く事もあるし少々楽な所となる。


旧東海道の畑宿から飛竜滝(神奈川県で一番高い滝)を通り鎌倉古道の鷹巣山に出る。

飛竜の滝は大きな岩がオオバーハングした美しい滝だ。
水量が少ないので滝壷の傍までいける。水音と飛沫で一息ついた。
大平台に下るとそれまで木陰と枯れ葉が弾力を生んだ山道でいくらか涼しかったのが、いきなり木ももなく、コンクリ−トの反射のまぶしい道路に出た為大変な暑さだ。

しばらく歩き、冷房の入ったコンビニで椅子を借りアイスクリームを食べたが、その間も火照った体はたいした涼しさも感じなかった。



箱根には鎌倉古道と江戸時代に出来た旧東海道がある。 大石内蔵助が仇射ちの為江戸に入る時、箱根路で曽我兄弟の墓にお参りをしている。道筋を考えると鎌倉古道を通り、湯本、小田原を経て江戸に行ったのだろう。

最近妻は植物図鑑のハンド版を持参し花を楽しんでいる。靫草(うつぼぐさ)を覚えたようだ。
「矢を入れ背中に背負う物を靫と言うのよ」、などど頓珍漢なことをいうので、「それは(えぴら)だ」・・・・・・・
話はこれで打ち切り。

「紫の細かな花が上向きに沢山付いた花で、栃木県の都市みたい名前のがあったけど、何だっけ?」、と聞くので、「栃木のどの辺だ」と問い返すと、「栃木の辺りを昔なんと呼んだの」と聞き直す。「下野だろう」と言うと、「そうそう、シモツケ草よ」。
短刀で襲われて、体をかわす「体(たい)」が思い出せなくて、七福神からはじまり、恵比寿さん、恵比寿さんのもっているつり竿、つり竿の先についている針から鯛、そして、やっと「体をかわす」に辿りついた落語を思い出した。
炎天の900メーターの山頂で疲れる会話である。

ここから紫陽花がずーっと続く。木陰は無く強い日差しに紫陽花が青、紫、エンジの花を着けている。花は強い日差しに映える。 梅雨時に雨の中見る事の多い紫陽花もいいが、夏の直射で見るのも良い。背丈よりはるかに高い紫陽花が数百メーター続き、その中のひと一人が通れるくらいの道を通って、浅間山から登山電車の駅のある大平台に下ると大変な暑さだ。公衆浴場である「姫の湯」は熱い湯の記憶があったが、夏は殊更熱い。でも、それだからか、あがるとさっぱりした。


靫(うつぼ)と箙(えびら)の違いは、靫は矢羽まで雨に濡れない様に保護する入れ物。箙は戦闘し易いように矢尻だけ止める。平家物語の那須与一の篇に、「・・・ひょうと放った矢が扇のかなめを射抜くと、平家は船縁を叩いて誉め、源氏は箙を叩いて歓喜せり・・・」、とあった気がする。

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平野 正(遠州屋薬局) ........
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